2水準要因計画の実験回数は1次モデルに含まれる交互作用を含めたすべての未知数と一致することを確認しました
要因計画とは簡単にいうと総当たりで実験を行う計画
例えば、2水準の因子が3つある場合は
すべての組合せを実験しようとすると\(2^3\)で8回の実験が必要となります
実験の目的はいろいろとありますが
回帰モデルの予測は比較的主要な目的であり
上の例の場合はこんなモデルを予測したいわけです
\[
y=\beta_0+\beta_1x_1+\beta_2x_2+\beta_3x_3+\beta_{12}x_{12}+\beta_{13}x_{13}+\beta_{23}x_{23}+\beta_{123}x_{123}
\]
ここで\(y\)は応答、\(\beta_i\)は未知数、\(x_i\)は各因子の水準を現しています
1次モデルを仮定した場合の未知数は8つ
ちょうど要因計画の実験回数と同じですね
これはいつでも成り立つことなのでしょうか?
アプローチ
上の話を一般化してみることにします
2水準の因子が\(n\)個あったとすると1次モデルに含まれる未知数は
切片、\(n\)個の主効果、\(_nC_2\)個の2因子間交互作用、\(_nC_3\)個の3因子間交互作用…\(_nC_n\)個の\(n\)因子交互作用
となり、未知数の数の和を数式で現すと以下のようになります
\[
1+n+{}_nC_2+{}_nC_3+…+{}_nC_n = \sum_{k=0}^n {}_nC_k
\]
これが要因計画の実験回数\(2^n\)に等しいことを示すことが今回の目的です
ここで忘れかけていた二項定理を思い出すと
以下の等式が成り立ち、実験回数と未知数の数の和が一致することがわかります
\[
(1+1)^n=\sum_{k=0}^n {}_nC_k
\]
まとめ
2水準要因計画の実験回数は1次モデルに含まれる交互作用を含めたすべての未知数と一致することを確認しました
総当たりで実験するのだからすべての情報が得られるのはあたりまえでは?と思う一方で
実験計画法のテキストでは繰り返しをしないと交互作用の情報は得られないようなことが書いてあることがあります
繰返しがある場合には因子数と同じ次数までの交互作用が求まり、繰返しがない場合には(因子数-1)の次数までの交互作用が求まる
谷津(1991)すぐに役立つ実験の計画と解析[基礎編]
\(F\)検定できないだけで
交互作用の情報自体は得られるような気がしますので
これは追って検証します
加えて、3水準の場合に2次モデルを考えると同じことがいえるのかどうかも気になるので
こちらも宿題に…
更新履歴
2025/10/16 noteより引越し
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