プラケット・バーマン計画(Plackett-Burman design)はスクリーニングのために実験回数を減らすことに重点をおいた計画です。必要な実験回数は(因子数+1)回だけ!
実施難易度 | ★★☆ |
オススメのつかいかた (スクリーニング or 最適化) | 因子が多い場合のスクリーニング実験 |
メリット | ・少ない実験回数で多くの因子を調査可能 (実験回数=因子数+1) ・主効果同士は直交している |
デメリット | ・2水準因子しか割り付けられない ・主効果と交互作用が部分的に交絡する |
必要なサンプルサイズ | 4の倍数 |
設定可能因子数・水準数 | (4の倍数ー1)因子・2水準 |
補足 | 実験回数が2 回(N=2, 4, 8, 16など)のときは 2水準直交表と同じ |
Plackett-Burman計画のつかいどころと効率
冒頭に記載したようにプラケット・バーマン計画(Plackett-Burman design)はスクリーニングのために実験回数を減らすことに重点をおいた計画です。実験の初期段階などで影響の有無がわからない因子がたくさんあるときに効果的ですね。
たとえば、N = 20のプラケット・バーマン計画では19個の因子をたった20回の実験で調べることができます。
要因計画(総当たり実験)で調べようとすると\(2^{19} = 524,228\)回もの実験が必要となってしまいますので、その効率の良さがよくわかりますね。
メリットとデメリットは以下の通りです。
Plackett-Burman計画のつかいかた
実際に使用する場合は以下の流れに沿って進めていきましょう!
- 調査する因子を洗い出す
このSTEPが最も重要であり、実験の成否を分けると言っても過言ではないですね。
面倒ですがしっかり洗い出しましょう。 - 因子に水準設定
スクリーニングが目的なので選んだ因子に水準を2つ設定します。
欲張って3水準や4水準にすると効率が落ちるので我慢して絞り込みましょう。 - 使用する計画を選ぶ
プラケット・バーマン計画は4の倍数のサイズが用意されています。
洗い出した因子がすべておさまるサイズを選びましょう。 - 計画への割り付けと実験の実施
各列に因子をわりふるだけでOKです。実験は各行の条件を反映して実施します。 - 主効果の推定
公式にしたがって直交表の各行に対応する実験結果を足し引きし、わりつけた因子の主効果を推定します。
手順③の計画のえらびかたと手順⑤の主効果の推定はわかりにくいと思いますので、以下で説明していきます。
Plackett-Burman計画のえらびかた
プラケット・バーマン計画は4の倍数のサイズが用意されています。洗い出した因子がすべておさまるサイズを選びましょう。
各計画は以下のページに記載してあります↓
実はプラケット・バーマン計画は自力で表を作成することも可能です。(意外と簡単!)
1⃣ ”パーツ”を1つずつずらして配置

2⃣ 折り返したのちすべてーの行を追加

3⃣ +を第1水準(1)
-を第2水準(2かー1)に変更

※N = 28は作り方が特殊なので今回は省略
主効果の推定
公式にしたがって直交表の各行に対応する実験結果を足し引きし、わりつけた因子の主効果を推定します。
\[ 効果の推定量=\textcolor{#FF3131}{(条件1で実施した実験結果の平均)}-\textcolor{#004AAD}{(条件2で実施した実験結果の平均)}\]
例えば、N = 20の計画において列1に割り付けた因子の主効果を推定したい場合は以下のような平均値を求めて計算を行います。
- 条件1で実施した実験結果の平均 = No. 1, 3, 4, 9, 11, 13, 14, 15, 16, 19の結果の平均
- 条件2で実施した実験結果の平均 = No. 2, 5, 6, 7, 8, 10, 12, 17, 18, 20の結果の平均

直交とか交絡ってなに?
メリット:主効果同士は直交している とは?
”直交している”とはざっくりいうと「ある因子の効果を推定する際に他の因子の影響が表れない」ことを指します。
例としてL4直交表を使って説明した記事がありますので、こちらのページをご確認ください↓
デメリット:主効果と交互作用が部分的に交絡する とは?
”交絡している”とはざっくりいうと「ある因子の効果を推定する際に他の因子の影響が混ざってしまう」ことを指します。
例としてL4直交表を使って説明した記事がありますので、こちらのページをご確認ください(準備中)
まとめ
スクリーニングにとても便利なプラケット・バーマン計画を紹介しました。
実験の初期段階でたくさんの因子の影響の有無を調べたいときにぜひ活用してみてくださいね。
改訂履歴
2025/2/14 公開
コメント